まぶしい春
家の近くの桜が、いつの間にか咲いていた。気づかないうちに季節だけが進んでいくのは、少し不思議な感覚だ。
最近はリモートワークが増えて、家を出る機会がめっきり減った。とはいえ、それを寂しいと感じているわけでもない。もともと家にこもることは嫌いじゃないし、むしろ落ち着く。これから夏に向かって気温が上がれば、なおさら外に出る理由は減っていく気がする。
ネットワーク上でほとんどの仕事が完結してしまう今、わざわざ外に出る意味を考えてしまうことも増えた。結局のところ、ただ億劫なのだと思う。
そんな生活の中で、たまに外に出てみると、妙に現実感が強くなる。道端で人が集まって騒いでいるのを見かけた。4月だから、新入生や新入社員の歓迎会か何かだろうと勝手に思った。
でもよく見ると、そこにいるのは若い人たちではなかった。その瞬間、ほんの少しだけ、なぜか許せないような気持ちが湧いた。
不思議なもので、相手が若ければ気にならなかったかもしれないのに、年配だと引っかかる。この感覚はなんだろうと考える。若さの特権、と言ってしまえばそれまでなのかもしれない。
ただ、自分自身を振り返ると、若い頃に「若さの特権」を意識して使った記憶はあまりない。だからこそ、もしあのときもう少し意識的にそれを使えていたら、とふと思うことがある。
桜が咲いていることに気づかなかったのと同じように、使えるはずだった何かも、気づかないうちに通り過ぎていったのかも。
新しく社会に出る人たちには、やりたいことや、やっておいたほうがいいことに、少しだけ意識を向けてみたらいいと思う。
あとから振り返ったときに、「ああ、あの頃ね」くらいに苦笑いで思い出せるくらいでちょうどいいから。

