「好きなことに、本気で向き合う」──ITコンサルタントがボードゲームを作った理由
松川 翔太(まつかわ しょうた)|ITコンサルタント / ゲームデザイナー
平日はコンサルタントとして大企業のDXを支援し、金曜日には自社レーベルでボードゲームを制作する。妻と娘をもつ父でもある。リチェインのメンバー・松川翔太の顔は、一つではない。そんな彼が、なぜボードゲームを作ることになったのか。話を聞いた。
目次
ボードゲームにハマったきっかけ
ボードゲームを始めたのはいつ頃ですか?
いわゆるユーロゲームを始めたのは2019年です。
ゲームという観点では子供の頃はデジタルゲームやカードゲームをたくさんやっていました。広義のボードゲームという点では麻雀にはかなりハマっていて、全自動卓を自宅に導入して友人と夜な夜な遊んでいたほどです。
そんなバックグラウンドもあり、ユーロゲームに出会ってからはもう止まらなくて。今は自宅に数十タイトルを所持していて、週末は友人を招いてよく遊んでいます。
どんなところが面白いんでしょう?
プレイヤー同士のヒリヒリした駆け引きが好きなんです。表情、間、声のトーン——あらゆる情報が複雑に絡み合って、それを敢えて出したり、思わず出ちゃったり、察知したり。そのハイコンテクストなコミュニケーションが、脳に直接効く感じで(笑)。
あと、1つのテーブルを共有して顔を合わせてゲームをすること自体に、人間味を感じる。プレイ後にそのまま感想戦や飲み会に移行できるのも最高です。デジタルゲームとは根本的に違う体験ですね。
「作る」という選択
遊ぶ側から作る側へ。そのきっかけは?
遊んでいるうちに、あるメタ的な発想が浮かんできたんです。ゲームをデザインするということは、ゲーム内で起きうるあらゆるパターン——状況、プレイヤーの心理、遊ばれる場の雰囲気——を全部思考することにほかならない。ある意味で、究極的にボードゲームを遊んでいるのは作っている側なんじゃないか、と。
「作る方が、もっとおもしろいかもしれない」と気づいた瞬間、もう決まっていましたね。
2023年に新規事業として提案されたそうですね。どんな根拠で?
まず市場調査をしっかりやりました。日本と世界のボードゲームランキングを分析して、「協力ゲーム」が世界では人気でも日本ではまだ普及が遅れていること、「正体隠匿・ブラフ」が日本で根強い人気を持つこと、「RPG」テーマが老若男女に馴染み深いこと——この3つを組み合わせた空白地帯があると気づいて。
協力×正体隠匿×RPGの組み合わせは、マーケット的にも可能性がある。それに加えて、自分が心から楽しいと思えるテーマでもあったので、「だから作るしかない」という確信がありました。
ZIPANGRI(ジパングリ)という世界
『ZIPANGRI』のテーマや世界観を教えてください。
テーマは「RPG × 正体隠匿」です。「ジパングリ」というのは、15〜16世紀のヨーロッパの地図に記された日本の古称に由来しています。平和と秩序に満ちたその世界を舞台に、プレイヤーたちは冒険者として共に旅に出る——でも、パーティの中にはたった一人、魔王の使いが紛れ込んでいる。
正規の冒険者たちは装備を集め、職業を昇格させながら魔王討伐を目指す。一方、魔王の使いは正体を隠しながら強力な装備を密かに集め続ける。40ターンの冒険フェイズを経たあとの「魔王戦」で、互いの戦力が激突します。
どんなプレイ体験を届けたいですか?
勝っても負けても、「あれって実はこういう考えがあったんだよ」という感想戦が自然に盛り上がるゲームにしたかったんです。プレイ体験そのものが、人と人をつなぐものになってほしくて。
ゲームのコンポーネントも圧巻ですよね。
カード類だけで160枚以上、六角形タイルやコマ類も含めると相当なボリュームになります。そのデザインとイラストはすべて自分で手がけました。
制作の舞台裏
制作で一番大変だったことは?
デザイン面ですね。イラストはAI画像生成を使ったんですが、当時はまだ精度が今ほど良くなくて。理想の絵が出るまで、膨大な時間と試行回数を費やしました。数千枚単位で生成して、そこから選んで、さらに調整して……。あれは根気との勝負でしたね。
一方、ルールメイクは気づいたら時間が経っていた(笑)。数字のバランス調整と、プレイヤーの心情がどう動くかの両面から考えていく作業は、時間はかかりましたが純粋に楽しかったです。
当初の提案では1〜16人対応でしたが、最終的に3〜5人に絞りましたね。
ボードゲームを遊ぶ際の人数のボリュームゾーンに合わせたのが一番の理由です。人数の幅を狭めることで、その人数での楽しさを最大化するようにルールを細かく調整できる。
それに、あまりに幅広い人数に対応しているゲームって、購入前に「本当に面白いの?」という不安を感じさせてしまうこともある。適正な人数をきちんと示してあげることで、その心配を取り除けると思いました。
本業との両立はどうでしたか?
時間的にはかなり厳しかったです。月曜から木曜はITコンサルタントとして仕事をして、金曜日はボードゲーム事業の時間としていただいていました。それでも当然時間が足りないので、土日のどちらかもこの事業に使っていましたね。
心理的には苦しくなかったです。やりたくてやっていることなので。……家族には負担をかけてしまいましたが(苦笑)、自分自身は熱中していました。リチェインが金曜日という時間を与えてくれたのは、本当にありがたかった。あの環境がなければ、ZIPANGRIは生まれていなかったと思います。
あっぱれPlayWorksという夢

「あっぱれPlayWorks」というレーベル名の由来を教えてください。
遊び終えたあとに、「いやあ、あっぱれだったね」と思えるような体験を届けたいという思いからです。勝っても負けても「楽しかった」と言える時間、思わずもう一度遊びたくなるような余韻、遊び終えたあとに心がふっと晴れやかになる感覚——そんな体験を作り続けることが、私たちの原点です。
「あっぱれ」は日本古来の言葉で、努力や挑戦を讃える、明るくポジティブな響きを持っています。「PlayWorks」は”遊びをつくる工房”という意味。まずは日本から、そして世界へ——という想いを込めています。
ロゴにもこだわりがあるとか。
モチーフは「船の上から見る日の出」です。日本から希望と遊びを乗せて、世界へ漕ぎ出していく姿を象徴しています。太陽の紅色は日の丸と同じ色で、8本の光線は末広がりを表す。2層に分かれた海の手前の波は「運(勝ち色)」を、奥の穏やかな水面は「技術(天色)」を表していて。全部、意味を持たせています。
ユーザーの声と、これから
リリース後の反応はいかがでしたか?
テストプレイではほぼ全員から高評価をいただいて、「発売されたら絶対に買います」という声も多かったです。実際に購入していただいた方からも「拡張版まだですか?」とか、1年後に「今も大切に遊んでいますよ」とお声がけいただいたりして。
イベントに出展しているときに、わざわざ足を運んで声をかけてくださった方もいて……正直、ジーンときました。
ゲームを作ったことで、コンサルタントとしての自分に変化はありましたか?
事業を作って維持し、グロースさせることの大変さを、身をもって知りました。ITコンサルで支援させていただく企業様は名だたる大企業ばかりです。その企業を創業し、今日まで持続させてきた創始者の方々や、そこで成果を上げ続けているメンバーを、以前にも増して尊敬するようになりましたね。
今後の展開を教えてください。
ZIPANGRIは最初から拡張しやすい設計にしてあるので、今後の展開は色々と考えていますよ。まだ形にはなっていないですが、期待していてください。
新作については……まだ内緒ですが、珈琲を題材にしたゲームが一番の候補になっています(笑)。
リチェインへの想い
最後に、リチェインへの就職を考えている方へメッセージをお願いします。
目の前の仕事に集中して取り組んで、一定の成果を出してきた。でも、「この能力を今後どこに向けようか」という感覚を持ちながらも、まだ熱量はある——そんな人に来てほしいですね。
ITコンサルタントとして会社や社員と一緒に成長していくのも、もちろんやりがいがある。でも、これまで培った能力を活かしながら、新規事業にも挑戦して人生の幅を広げることもできる。それぞれのメンバーが、それぞれのスタンスをお互いに理解し合っている環境なので、人生を謳歌しながら仕事にも熱中できると思います。
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平日はコンサルタント、金曜日はゲームクリエイター。妻と娘をもつ父でもあり、週末は家族との時間と友人とのボードゲームを大切にしながら、そのすき間でゲームへの情熱を燃やし続ける。そんな松川の姿は、「仕事と人生を切り離さない」リチェインという会社の文化を、そのまま体現しているように見えた。
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ZIPANGRI(ジパングリ)は、BOOTHにて販売中です。
3〜5人、プレイ時間90分前後の、RPG×正体隠匿ボードゲーム。ぜひ、週末の卓に加えてみてください。
🎲 [BOOTHで購入する] > https://rechain.booth.pm/items/6596053
🌐 [あっぱれPlayWorks 公式サイト] > http://appare-playworks.rechain.co.jp/
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